2026年9月30日(米国時間)、グーグルが最上位のAI「Gemini 4 Argon(ジェミニ・フォー・アルゴン)」を発表しました。
ニュースでは「性能テストで他社を上回った」という話題が目立ちます。ただ、私が中小企業の社長に伝えたいのは、そこではありません。
このAIが変えたのは、一度に書ける量です。分厚い書類を途中で切られず、最後まで書き切れるようになりました。
一方で、今すぐ誰でも使えるわけではありません。まずは大企業や専門機関から順番に渡されています。
だからこそ、社長に考えていただきたいのです。届いたときに御社は何を任せるのか。それを、今のうちに決めておきませんか。
簡単に説明する動画を作成しました!
目次
社長、まず「読める量」と「書ける量」は別物です

AIには「読む力」と「書く力」がある
AIの「長さ」には二つの意味があります。一つは、資料をどれだけ読み込めるか。もう一つは、一度にどれだけ書き出せるかです。
これまでのAIは、分厚い資料を読み込むことはできても、書き出せる量はずっと少ないのが普通でした。従来のGeminiでは、一度に書ける量の上限が「6万4,000トークン」です。Argonは、ここを「100万トークン」まで広げました。
例えるなら、分厚い契約書を最後まで読んでくれる部下が、報告書は3ページで手を止めてしまうような状態でした。読めるのに、書き切れない。Argonが変えたのは、この「書く側」です。
100万トークンは、どれくらいの仕事量か
トークンとは、AIが文章を区切って扱う小さな単位のことです。日本語なら、おおよそ1文字から数文字で1トークンと考えれば十分です。
正確な換算は文章によって変わります。ざっくり言えば、6万4,000トークンは長めの報告書を数本まとめた量です。100万トークンは、分厚い設計書や大量の記録を一度に書き出せる量になります。
御社に置き換えると、全部署分の業務マニュアルや、数年分の取引記録の整理を、一回の依頼で最後まで出せる規模です。
「考えながら最後まで書く」が何を変えるか
グーグルは、一回の作業のなかで数十万トークンを書き出しながら、じっくり考える余裕ができたと説明しています。短い答えを何度も継ぎ足すのではなく、長い仕事を一つの流れで最後まで進められるということです。グーグル社内では、すでに数千人が専門的なプログラム作成や調査、文章作成に使っているそうです。
ここで誤解してほしくないのは、毎回100万トークンを使い切る必要はないということです。
私が大事だと考えるのは、「ここまでで終わりです」と途中で切られなくなる点です。結論だけでなく、その理由、修正案、確認すべき項目まで、同じ書類の中にまとめて残せます。
AIを使った仕事が止まる原因は、AIの賢さが足りないことよりも、成果物が途中でバラバラに分断されることにある。現場を見てきて、私はそう感じています。
大企業の使い方を、御社の仕事に置き換えると

グーグル社内で起きていること
発表では、想定される仕事として、ソフトウェア開発、法務や財務などの事務的な専門業務、そして情報セキュリティの防御が挙げられています。
たとえばグーグル社内では、古い時代に書かれたプログラムを、新しい仕組みのプログラムに書き換える作業に使っています。動画を再生するための部品では、既存の書き換え版より2.7倍速いものができたそうです。動きは同じまま、速さだけが上がったという説明です。
これは大企業の話です。御社が同じことを真似する必要はありません。
私がこの事例から読み取るのは、「長くて面倒で、誰も手をつけたがらない作業」こそAIに向いているということです。
御社なら、まず「途中で止まっている書類」を探す
中小企業で同じ考え方を当てはめるなら、私なら次のような書類から見ていきます。
一つは、作りかけのまま止まっている業務マニュアルや手順書です。二つ目は、補助金の申請書や事業計画書のように、章が多く、書いた人しか全体を把握していない書類です。三つ目は、就業規則や社内規程の見直しのように、全体の整合性をとる必要がある書類です。
これまでは、章ごとにAIとのやり取りを分け、人が最後につなぎ合わせていました。書ける量が増えると、このつなぎ直しの手間が減ります。
私が社長にまずお聞きするのは、「御社で、途中で止まったままの書類は何ですか」ということです。ベテラン社員の頭の中にしかない仕事の手順も、ここに含まれます。
違いは「どのAIが賢いか」ではありません。「最後まで一つの書類として残るか」です。
長く書けるほど、確認する人の仕事は重くなる
ここは、社長に一番お伝えしたいところです。
書ける量が長くなるほど、人がすべてを読んで確認する負担も増えます。AIが便利になるのは、下書きを最後まで出すところまでです。数字、引用、誰に見せてよい情報か、個人情報が含まれていないかは、これまで通り人が確認する前提です。
途中で切れていた頃は、切れ目ごとに人が自然と目を通していました。切れなくなると、どこで確認するかを自分で決めておかない限り、長い原稿をまとめて受け取って終わりになりがちです。
私なら、AIに依頼する時点で「最後まで書いてほしいもの」と「人が必ず確かめる箇所」を、依頼文の中に一緒に書き込みます。AIは完成品を納品する業者ではなく、一緒に考えて下書きを仕上げる思考の相棒です。出てきた原稿は、社長や担当者が赤ペンを入れるための「たたき台」として扱ってください。
なぜ「誰でもすぐ使える」にならないのか

守る力は、攻める力にもなる
ArgonはAIでありながら、プログラムに潜む重大な弱点を自分で見つけ、本当に問題かを確かめ、直し方まで示せるように鍛えられているそうです。グーグル社内の評価では、20種類のプログラム言語で書かれた複雑な仕組みの中から、幅広く問題を見つけたとも説明されています。
この力は、会社のシステムを守るのに役立ちます。しかし裏を返せば、攻撃する側の下調べにも使えてしまいます。
そのためグーグルは、サイバー攻撃や、化学・生物・放射性物質・核といった危険な分野への悪用を防ぐ仕組みを組み込んでいます。アメリカ政府が公開前に確認する自主的な手続きにも参加し、段階的に広げていく方針です。
性能が高いからすぐ全員に配る、ではありません。強い力を持つAIほど、公開を急がない。これが今回の判断です。
守る側の専門家から、順番に渡している
最初に使えるのは、信頼できる情報セキュリティの専門家に限られています。グーグルはこれを「フェアウインド・プログラム(Fairwind Program)」と呼んでいます。
一部の守る側の組織とグーグル社内のチームには、安全のための制限を外した状態でも提供しています。守るために使う人にだけ、制限をゆるめた版を先に渡す形です。報道によれば、大手のセキュリティ企業や、公共インフラを守る取り組みですでに使われ始めています。
一般の企業や個人向けには、安全の仕組みを調整し、先に使った人たちの声を集めながら広げていきます。次に使えるのは、グーグルの有料サービスを契約している企業や個人の一部です。ただし、開始日はまだ示されていません。
つまり、今すぐ御社で使えるAIではない、ということは押さえておいてください。
中小企業の社長が、ここから学ぶべきこと
これはグーグルという巨大企業の話です。ただ、私はこの順番の付け方に、中小企業が学べるヒントがあると考えています。
それは「強い道具ほど、渡す相手と範囲を先に決める」という考え方です。
御社でAIを導入するとき、いきなり全社員に自由に使わせていませんか。私が支援先でおすすめしているのは、まず社長と一人か二人の担当者で使い方を固めてから、範囲を広げていく進め方です。誰が、どの情報まで扱ってよいのか。グーグルが国の規模でやっていることを、御社は社内の規模でやればよいのです。
届く前に、社長が決めておくべきこと

料金は「書かせた量」に比例する
発表では、財務・法務・税務やプログラム作成の評価で、他社の上位のAIを上回ったという数字も出ています。ただ、現場が本当に欲しいのは点数ではなく、長い書類が途中で切れないことです。制限つきでも企業が順番待ちをするのは、その制限の内側に「最後まで書き切る力」があるからです。
そして社長として必ず見ていただきたいのが、料金です。
導入時の価格は、AIに読ませる量100万トークンあたり2ドル、AIが書き出す量100万トークンあたり10ドルです。一度読ませた資料をくり返し使う場合は、読ませる料金が95%引きになります。導入期間が終わると、読ませる量が4ドル、書き出す量が20ドルになる予定です。
1ドル150円で計算すると、書き出し100万トークンで導入時は約1,500円、その後は約3,000円です。一回あたりは大きな金額ではありません。しかし、社員が何も考えずに長文を書かせ続ければ、請求額は確実に積み上がります。
書ける量の広さは、そのまま請求額の広さにもなる。私はここを、社長が管理すべき経営判断だと考えています。
社長が決めるのは、まず三つの線引き
今は多くの企業が順番待ちをしている段階です。だからこそ、届く前に決めておくことがあります。
一つ目は、どの書類をAIに一気に書かせるか。二つ目は、誰が最後に確認して責任を持つか。三つ目は、社外に出せない記録や顧客情報、社内のプログラムを、どこまでAIに渡すか。
この三つが決まっていないと、使える日が来ても「検討します」で止まってしまいます。私は、AI導入が止まる会社の多くが、道具の性能ではなく、この線引きが決まっていないことでつまずいているのを見てきました。
ここは担当者に任せるのではなく、社長が決めてください。特に三つ目の「渡さない情報」は、会社の信用に直結します。
私が御社に伴走するなら、こう始めます
もし私が今、御社の社長と向き合っているなら、Argonを待つ前に、今あるAIで小さく試すことをおすすめします。
まず、先ほど挙げた「途中で止まっている書類」から一つだけ選びます。次に、今使えるAIで章ごとに下書きを作り、どこで確認の手間がかかったかを記録します。その記録が、書ける量が増えたときに「どこを任せ、どこを人が見るか」を決める材料になります。
新しいAIが届いてから考え始める会社と、届く前に試し終えている会社では、使い始めの速さがまったく違います。
限定公開は、一見不便に見えます。けれど、強い力を確認の仕組みなしに配らない、という線引きでもあります。長い仕事を終わらせる道具は、使い方の境界線とセットになって、はじめて役に立ちます。
100万トークンとは、賢い答えの長さではありません。途中で投げ出さなかった仕事の長さです。御社の「途中で止まっている仕事」を、一緒に最後まで終わらせましょう。
出典:グーグル公式発表(2026年9月30日)および国内報道
DXやITの課題解決をサポートします! 以下の無料相談フォームから、疑問や課題をお聞かせください。40万点以上のITツールから、貴社にピッタリの解決策を見つけ出します。
このブログが少しでも御社の改善につながれば幸いです。
もしお役に立ちそうでしたら下のボタンをクリックしていただけると、 とても嬉しく今後の活力源となります。 今後とも応援よろしくお願いいたします!
IT・通信業ランキング![]() | にほんブログ村 |
もしよろしければ、メルマガ登録していただければ幸いです。
【メルマガ登録特典】AI戦略で10年以上勝ち続ける実践バイブル『AI競争勝者の法則』をプレゼント!
今すぐプレゼントを受け取る