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生成AIを配っても会社は変わらない|DX成熟度調査2026から、中小企業の社長が今決めるべき3つのこと

Home > DX > 生成AIを配っても会社は変わらない|DX成熟度調査2026から、中小企業の社長が今決めるべき3つのこと

2026年9月17日 by akalink

社長、ひとつ伺ってもよいでしょうか。

「うちも生成AIは入れた。社員も使っている。だから、うちのDXは進んでいる」

もしそう感じていらっしゃるなら、今日の話は御社のためのものです。

2026年9月、ある調査会社が「DX&AI成熟度調査2026」の結果を公表しました。従業員100人以上の国内企業584社が回答しています。結論をひと言でいうと、「社員の時短は進んだ。でも、会社の稼ぎ方はほとんど変わっていない」というものでした。

この記事では、調査の中身をそのまま紹介するのではなく、「私が御社の社長の隣に座っていたら、この結果をどう読み、どう使うか」という視点でお話しします。大企業の事例も出てきますが、そのまま真似していただく必要はありません。中小企業である御社なら、どこから手をつけるか。そこを一緒に考えていきます。

簡単に説明する動画を作成しました!

目次

  • 調査が示したのは「わかっているのに、変わっていない」会社の姿
    • 584社の平均点は、3点満点で1点台
    • 進んでいるのは「意識」、止まっているのは「仕組み」
    • 私はこの数字をこう読みます
  • 社長が決めるべきこと① AIで「お客様に渡すもの」を変えるか
    • 時短はできた。でも、商品は変わっていない
    • 大企業は新規事業部を作れますが、御社はそうはいきません
    • 私なら、まず「お客様との接点を一つ」変えます
  • 社長が決めるべきこと② 頑張った人を評価し、続けるかやめるかを決める
    • 研修をしても、評価が変わらなければ元に戻ります
    • 大企業の人事制度を、中小企業ならこう置き換えます
    • 私なら「月に一度、15分の判断の場」を置きます
  • 社長が決めるべきこと③ 誰が、どのデータを、どこまで使ってよいか
    • 道具が先に入り、ルールが後回しになっています
    • 3万人規模の仕組みは要りません。紙1枚の決まりで十分です
    • 私なら、この三つを書き出していただきます
  • 社長、次の会議でこの三つを聞いてみてください
    • 「はい」か「いいえ」で答える三つの質問
    • 三つとも「いいえ」でも、焦る必要はありません
    • 社長ひとりで決めきれないときは
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調査が示したのは「わかっているのに、変わっていない」会社の姿

調査が示したのは「わかっているのに、変わっていない」会社の姿

584社の平均点は、3点満点で1点台

この調査では、150の質問で会社の取り組み具合を採点します。

「本格的にやっている」が3点、「一部でやっている」が2点、「ごく一部で試している」が1点、「やっていない」が0点です。その平均が会社の点数になります。

結果は、どの分野もおおむね1.3〜1.5点でした。つまり平均的な会社は「一部で試している」段階にとどまっている、ということです。

進んでいるのは「意識」、止まっているのは「仕組み」

点数が比較的高かったのは、次のような項目です。

  • 経営陣がAIの変化を理解している
  • 社員が資料作成や要約に生成AIを使っている
  • 推進する部署や担当者を決めている

一方で、点数が低かったのは、次の三つでした。

  • AIを使って新しい商品やサービスを生み出すこと
  • 取り組んだ人を評価する仕組みや、続ける・やめるを判断する仕組み
  • 会社のデータをAIで安全に使うための土台づくり

意識は変わった。道具も入った。けれど、会社の仕組みはまだ動いていない。これが584社の平均的な姿です。

私はこの数字をこう読みます

この調査の対象は、従業員100人以上の企業です。御社の規模によっては、そのまま比べられないこともあります。

ですから私は、この平均点を「御社が上か下か」を競う数字としては使いません。それよりも、「点数が低かった三つの項目を、御社は自分の言葉で説明できるか」を確かめる材料として使います。

そして、この三つはどれも、担当者ではなく社長にしか決められないことです。ここから一つずつ見ていきましょう。

社長が決めるべきこと① AIで「お客様に渡すもの」を変えるか

社長が決めるべきこと① AIで「お客様に渡すもの」を変えるか

時短はできた。でも、商品は変わっていない

調査で最も遅れていたのが、新しい商品やサービスづくりでした。

社員が提案書を早く作れるようになった。議事録をまとめる時間が減った。それ自体は立派な成果です。ただ、お客様から見ると、御社が届けている商品もサービスも、以前と何も変わっていません。

社員にAIを配ることは、道具を配ることです。DXとは、その先で「仕事の進め方」と「稼ぎ方」を変えることです。ここを取り違えると、どれだけAIを使っても、会社の数字は動きません。

大企業は新規事業部を作れますが、御社はそうはいきません

大企業であれば、新規事業の専門部署を作り、人とお金を投じて新しい商品を育てることができます。

しかし、中小企業である御社がそれを真似するのは現実的ではありません。人も時間も、今の本業で手一杯のはずです。

だからこそ、御社がやるべきことは「新しい事業を一から作る」ことではありません。今のお客様に、今の商品を、少し良い形で届けることです。

私なら、まず「お客様との接点を一つ」変えます

私が御社にご提案するなら、まず次のように問いかけます。

「お客様が、御社とのやりとりで一番待たされているのはどこですか」

たとえば、見積もりの回答に3日かかっているなら、それを当日に返せないか。問い合わせへの返事が担当者によってばらついているなら、誰が答えても同じ品質にできないか。

これなら新しい部署はいりません。それでも、お客様が受け取る体験は確実に変わります。社長が決めるのは、「どの接点から変えるか」の一点です。

社長が決めるべきこと② 頑張った人を評価し、続けるかやめるかを決める

社長が決めるべきこと② 頑張った人を評価し、続けるかやめるかを決める

研修をしても、評価が変わらなければ元に戻ります

二つ目に遅れていたのが、人の評価と判断の仕組みです。

研修を受けて、AIを使えるようになった社員がいたとします。でも、その人の評価や給与が以前と同じなら、どうなるでしょうか。忙しくなるにつれて、新しい取り組みは「本業の片手間」に戻っていきます。

もう一つの問題は、「続けるか、やめるか」を決める場がないことです。これがないと、試しに始めた取り組みだけが増えていき、本当に仕事に定着するものは増えません。

大企業の人事制度を、中小企業ならこう置き換えます

東急不動産ホールディングスは、経済産業省などが選ぶ「DX銘柄2026」に選ばれた企業です。この会社では、現場の社員を一定期間、推進部門に異動させる制度を動かしています。また、推進部門が全社56の部署を回り、説明と質疑を重ねたそうです。

これは大企業だからできる仕組みです。御社で同じ制度を作る必要はありません。

私が中小企業に置き換えるなら、次の二つです。

  • 推進を任せた社員の本業を、社長の判断で1〜2割減らす
  • 部署を回って説明する役を、担当者任せにせず社長自身が担う

中小企業の強みは、社長の一言で社内がすぐ動くことです。制度を作るより、社長が「この人の仕事を減らしてでも、これをやってもらう」と宣言するほうが、ずっと早く伝わります。

私なら「月に一度、15分の判断の場」を置きます

判断の仕組みも、大げさなものはいりません。

月に一度、15分だけ、社長と担当者で次の三つを確認する時間を取ります。

  • 先月試したことで、実際に楽になった仕事はあったか
  • それを続けるか、やめるか
  • 続けるなら、次にどの部署へ広げるか

「やめる」と決めることも、立派な判断です。やめる判断ができる会社ほど、本当に役立つ取り組みに力を集中できます。

社長が決めるべきこと③ 誰が、どのデータを、どこまで使ってよいか

社長が決めるべきこと③ 誰が、どのデータを、どこまで使ってよいか

道具が先に入り、ルールが後回しになっています

三つ目は、データとAIを安全に使うための土台です。

多くの会社でよく見る順番は、こうです。まず社員にAIを配る。次に各部署で自由に使ってもらう。データの扱いや使ってよい範囲は「あとで考える」。

この順番だと、同じ質問をしても部署ごとに違う答えが返ってきたり、お客様の情報をどこまでAIに入れてよいかが人によって違ったりします。社長が知らないうちに、情報の扱いに穴があいている状態です。

3万人規模の仕組みは要りません。紙1枚の決まりで十分です

電子部品大手の村田製作所は、社員約3万人が使う生成AIの仕組みを整えています。その考え方は、「使うこと」と「安全を守ること」を対立させないというものです。止めるためのルールではなく、安心して広げるためのルールを、会社共通の土台に置いています。

もちろん、御社が同じ規模の仕組みを作る必要はありません。

私が大事だと思うのは、村田製作所の仕組みの大きさではなく、その考え方です。中小企業であれば、紙1枚の決まりで同じ効果を狙えます。

私なら、この三つを書き出していただきます

私が御社でお手伝いするなら、まず社長と一緒に、次の三つを書き出します。

  • AIに入れてよい情報と、入れてはいけない情報(例:お客様の個人情報は入れない)
  • 部署ごとに、使ってよい業務の範囲
  • AIが作ったものを、最後に人が確認する場面(例:お客様に出す書類は必ず上長が見る)

これが一文ずつ言える状態になれば、社員は迷わずAIを使えます。社長も、安心して任せることができます。

社長、次の会議でこの三つを聞いてみてください

社長、次の会議でこの三つを聞いてみてください

「はい」か「いいえ」で答える三つの質問

150問すべてに答える必要はありません。調査で遅れていた三つだけ、御社の状況を確かめてください。

  • 商品:AIを使い始めてから、お客様に届けているものや、その届け方は変わりましたか
  • 評価と判断:取り組んだ社員は評価されていますか。続けるかやめるかを決める場はありますか
  • データのルール:使ってよい情報、使ってよい範囲、人が確認する場面を、それぞれ一文で言えますか

三つとも「いいえ」でも、焦る必要はありません

もし三つとも「いいえ」だったとしても、御社が遅れているわけではありません。584社の平均も、まさにその位置にいます。

大切なのは、ここから先の順番です。新しいAIに乗り換えることでも、社員に追加の研修を受けさせることでもありません。まず社長が、今日お話しした三つのうち「どれから決めるか」を選ぶことです。

私のおすすめは、③のデータのルールから始めることです。紙1枚で済み、社員が安心して使える状態をすぐに作れるからです。その上で、①のお客様との接点、②の評価と判断へと進むと、無理なく積み上がっていきます。

社長ひとりで決めきれないときは

とはいえ、「どの接点から変えるべきか」「誰の仕事を減らすべきか」は、社内だけで考えると迷うものです。社員の顔が浮かぶからこそ、決めにくいこともあるでしょう。

そんなときは、外の目を使ってください。御社の業務を一緒に棚卸しし、社長が決めるべきことを三つに絞るところから、私が伴走します。

AIは社員の時間を生み出してくれます。その時間を、会社の稼ぎ方を変えるほうへ向けられるかどうか。それを決められるのは、社長、あなただけです。

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執筆者 相馬 正伸

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