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画面を見て事務をこなすAIが半額に GPT-6.1 Terraで中小企業の経理・事務はどう変わるか?

Home > AI > 画面を見て事務をこなすAIが半額に GPT-6.1 Terraで中小企業の経理・事務はどう変わるか?

2026年10月28日 by akalink

「うちもそろそろAIで業務変革だ」――役員の一言で突然プロジェクトの旗振りを任され、自席に戻って頭を抱える。いま、多くの企業で静かに起きている光景です。

経営陣からは成果を急かされ、現場からは「今のやり方で困っていない」と煙たがられ、IT部門からは要件定義を求められる。板挟みになった担当者が孤立し、プロジェクトが空中分解してしまうケースは後を絶ちません。実際、AI導入の失敗率は7割以上と言われますが、最大の原因は技術の未熟さではありません。「誰が責任を持ち、どう現場を巻き込むか」という推進体制を曖昧にしたまま走り出してしまうことにあります。

AIは魔法の杖ではなく、実際に動かすのはいつだって現場の人間です。高額な投資を無駄に終わらせないために、誰をどう巻き込み、どうプロジェクトを進めるべきか。机上の空論ではない、現場が自発的に動く「現実的な体制づくりの手順」をお伝えします。

目次

  • 今回の発表で何が変わったのか
    • 料金が先代の半分になった
    • 画面を見て、マウスとキーボードを動かす力
    • 「黙って間違えない」ことの意味
  • 私なら、まず請求書の流れから見直す
    • 「請求書を会計ソフトへ」を中小企業に置き換えると
    • 人の時間は「入力」から「照合」へ移す
    • 図面・提案書・フォーム入力にも広がる
  • 上位モデルとの使い分けは「人の配置」と同じ
    • 四つのモデルの役割
    • 日常業務はTerra、難所だけ上位へ
    • 費用は「件数×1件あたり」で見積もる
  • 導入で失敗しないために決めておくこと
    • 始めるのは「毎月同じ手順」の仕事から
    • 金額と送信ボタンは人が押す
    • AIを「相談相手」として育てる
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今回の発表で何が変わったのか

今回の発表で何が変わったのか

料金が先代の半分になった

AIを自社のシステムや業務の仕組みにつないで使う場合、料金は「処理した文字の量」で決まります。この量を数える単位を「トークン」と呼びます。

GPT-6.1 Terraの料金は、100万トークンあたり、AIに渡す文章(入力)が1ドル、AIが返す文章(出力)が5ドルです。前のモデルや、一つ上の「GPT-6.1 Sol(ソル)」と比べて、どちらも半額になりました。

さらに、同じ指示文を何度も使い回す場合は、入力が100万トークンあたり0.05ドルまで下がります。毎月同じ手順を繰り返す事務作業とは、相性のよい料金体系です。

画面を見て、マウスとキーボードを動かす力

今回のモデルの一番の特徴は、パソコンの画面を読み取り、人の代わりにアプリを操作する力です。文章だけでなく、画面の写しや図面などの画像も理解できます。

OpenAIの発表によると、専門的な業務を想定した試験では、前のモデルより15ポイント高い成績を、約3分の1の費用で出しました。最上位の「GPT-6 Astra(アストラ)」とほぼ同じ成績を、約10分の1の単価で出したとしています。作業を終えるまでの速さも、上位モデルの3倍以上とのことです。

ただし、これらはすべてOpenAI自身による測定結果です。御社の業務でも同じ結果が出るとは限らない、という前提で読んでおくのが大切です。

「黙って間違えない」ことの意味

私が今回いちばん注目したのは、実は性能よりも「間違いの少なさ」です。

間違いを誘いやすい質問を集めた社内試験で、誤答の割合は、考える深さを浅くした設定では53.6%から16.7%に、最も深く考える設定では4.3%まで下がったと発表されています。

加えて、頼まれた範囲からはみ出さず、できないことや作業の障害を正直に伝える傾向が、前のモデルより強まったとされています。

事務を任せる相手に求めるのは、速さより「わからないときに、わからないと言ってくれること」です。人の新人でも同じですよね。この点が改善されたことは、経理のような正確さが命の仕事に使ううえで、大きな意味を持ちます。

私なら、まず請求書の流れから見直す

私なら、まず請求書の流れから見直す

「請求書を会計ソフトへ」を中小企業に置き換えると

OpenAIが例に挙げた請求書処理は、中小企業にこそ効く使い方です。取引先が多い会社ほど、毎月の入力件数は膨らみます。しかも入力そのものは、売上を生まない作業です。

ただ、私がご支援するなら、いきなりAIに入力させることはしません。先に、請求書がどこから届いているかを確かめます。紙で郵送されるもの、メールにPDFで届くもの、取引先のサイトから自分でダウンロードするもの。受け取り方がばらばらのままでは、AIも人も迷います。

まずは受け取り口を一つの共有フォルダやメールアドレスに寄せる。それだけで、AIが働きやすい環境が整います。これがITを手段とした業務改革の第一歩です。

人の時間は「入力」から「照合」へ移す

AIが入力を担うようになったら、人の仕事は「打ち込むこと」から「確かめること」に変わります。

たとえば、AIが入力した内容を、発注した内容や納品の記録と突き合わせる。金額が普段と大きく違う取引先に気づく。支払い条件の変更を見逃さない。こうした判断は、会社の事情を知っている人にしかできません。

経理担当者の時間を、手を動かす作業から、目を光らせる仕事に回す。そう考えると、AIの導入は人を減らす話ではなく、人の役割を一段上げる話になります。

図面・提案書・フォーム入力にも広がる

請求書以外にも、発表では技術図面の読み取り、提案書の下書き、フォームへの入力、動画の編集が使い道として挙げられています。

建設業や製造業であれば、図面から寸法や部材を読み取って一覧にする作業が考えられます。営業部門なら、過去の提案書や顧客とのやりとりを読ませたうえで、新しい提案の骨組みを一緒に考えてもらう使い方ができます。取引先のサイトや行政の申請画面への転記作業も、対象になるでしょう。

ここで大事なのは、AIを「代わりに書いてくれる装置」と見ないことです。「この提案で、お客様が一番気にしそうな点はどこか」と問いかければ、AIは別の角度から考えを返してくれます。下書きをもらって終わりにせず、考えを深める相手として向き合うと、提案の質そのものが上がります。

上位モデルとの使い分けは「人の配置」と同じ

上位モデルとの使い分けは「人の配置」と同じ

四つのモデルの役割

OpenAIは現在、性能と料金の違う四つのモデルをそろえています。

  • 最上位のAstra:最も難しい課題向け
  • Sol:高い性能と費用のバランスをとった主力モデル
  • 今回のTerra:日常業務を幅広くこなす中位モデル
  • Luna(ルナ):最も速く安い、軽い作業向け

OpenAI自身も、最も複雑なプログラム開発にはSolやAstraが向いていると説明しています。Terraは「何でも最高」のモデルではなく、「日々の仕事を安く確実に回す」ためのモデルだと理解しておくとよいでしょう。

日常業務はTerra、難所だけ上位へ

これは、社内の人の配置と同じ考え方です。ベテランに伝票入力まで任せていたら、会社全体の生産性は上がりません。

定型の事務はTerraに任せ、経営判断の材料づくりや複雑な分析のように、本当に頭を使う場面だけ上位モデルを使う。この役割分担が、中小企業にとって最も無理のない形です。

Terraには、考える深さを「浅く・中くらい・最大」と切り替える設定もあります。簡単な転記は浅く速く、金額の確認のように間違えられない作業は深く考えさせる、といった調整ができます。

費用は「件数×1件あたり」で見積もる

料金が半額と聞いても、自社でいくらかかるのかは、実際に動かしてみないとわかりません。読み取る請求書の枚数や、画面操作の回数によって大きく変わるからです。

私なら、まず1か月分の請求書だけで試し、かかった費用を処理件数で割って「1件あたりいくら」を出します。それを担当者が1件に使っていた時間と比べれば、続けるべきかどうかを数字で判断できます。感覚ではなく、自社の数字で決める。これが失敗しない導入の基本です。

導入で失敗しないために決めておくこと

導入で失敗しないために決めておくこと

始めるのは「毎月同じ手順」の仕事から

GPT-6.1 Terraは、ChatGPTの有料プラン(Plus、Pro、Enterprise、Edu)で、業務向けの機能から使えます。自社のシステムにつなぐ場合も、発表当日から利用できるようになっています。

最初の対象は、毎月決まった手順で、件数が多く、ミスが起きやすい仕事がおすすめです。どの仕事が当てはまるかは、現場の担当者に「毎月いちばん憂うつな作業は何か」と聞いてみると、すぐに見えてきます。経営者が想像している答えと違うことも、少なくありません。

金額と送信ボタンは人が押す

画面を操作できるAIは便利な反面、任せ方を誤ると、意図しない入力や送信が起こりえます。OpenAI自身、このモデルのサイバー分野の能力を、自社の安全基準で最も警戒が必要な段階に達したと評価し、最上位モデル向けの保護策を引き継いだと説明しています。それだけ「できること」が増えたということです。

だからこそ、AIが触れてよいアプリや画面を絞る。支払いや取引先への送信など、取り消しの難しい操作の前には必ず人の承認を挟む。AIが何をしたかの記録を残し、後から確かめられるようにする。この三つは、導入前に社内のルールとして決めておくべきです。判断と責任は人が持つ。この原則は、AIがどれだけ賢くなっても変わりません。

AIを「相談相手」として育てる

もう一つ、私がおすすめしたいのは、AIに「なぜそう入力したのか」を説明させることです。

説明を読むと、AIが迷った箇所がわかります。迷った箇所には、たいてい業務の側の曖昧さが隠れています。勘定科目の判断基準が人によって違う、取引先ごとの例外が誰かの頭の中にしかない、といったことです。

AIとのやりとりを通じて業務のあいまいな部分を見つけ、一つずつ整えていく。そうすると、AIは単なる作業の代行役ではなく、業務を一緒に見直す思考パートナーになります。

料金が半分になった今は、試すこと自体のハードルが下がった時期です。ただし、AIを入れることが目的になってはいけません。御社の時間を一番奪っている仕事は何か。その答えを出すところから始めてみてください。

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執筆者 相馬 正伸

アカリンク合同会社代表 相馬正伸

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