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生成AIで資料は速くなったのに、商品は去年のまま。中小企業の社長が最初に決める「一行」

Home > ブログ > 生成AIで資料は速くなったのに、商品は去年のまま。中小企業の社長が最初に決める「一行」

2026年9月21日 by akalink

「AIを入れたのに、何が変わったのか説明できない」

社長とお話ししていて、いちばん多く耳にする言葉です。議事録は速くなった。メールの下書きも出てくる。社員も嫌がらずに使っている。それなのに、お客様にお渡ししている商品も、提案書の中身も、去年とほとんど同じ。

その違和感は正しいと思います。そして、原因はAIの性能でも、社員のやる気でもありません。社長が「何を任せて、何を自分で止めるか」を決めていないだけ、というケースがほとんどです。

ちょうどいま、その分かれ目がはっきり見える事例が出てきました。コンビニの棚の上に。

簡単に説明する動画を作成しました!

目次

  • ローソンが棚に並べた「なんだこりゃ?」の商品
    • 売れ筋データに、あえて聞かなかった
    • 味と見た目は、最後まで人が決めた
  • これは大企業の話。では、御社ならどうするか
    • そのまま真似すると、まず失敗します
    • 御社の「なんだこりゃ?」は、商品じゃなくていい
    • 社長が決めるべきなのは、この一行
  • なぜ多くの会社が「チャットで終わる」のか
    • 進んだのは個人の作業、止まっているのは稼ぎ方
    • 便利になったのに売上が動かないのは、順番の問題
  • 私ならこう始めます
    • 「外す会議」と「数字を見る会議」を分ける
    • 1商品、1提案、1店舗から
    • 成果の測り方を「時短」から変える
  • 社長、あなたにしかできないことは2つだけです
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ローソンが棚に並べた「なんだこりゃ?」の商品

ローソンが棚に並べた「なんだこりゃ?」の商品

売れ筋データに、あえて聞かなかった

ローソンは2026年9月29日から、生成AIが発案した3商品を関東甲信越で本格発売します。レモンタルト(ピクルス風味)270円、酒種あんバターヨーグルトパン181円、和風パフェサラダ(ビーフン入り)475円。4月に一部地域で試した後、約4,700店規模に広げる計画です。

私がこの事例で注目したのは、味そのものではありません。アイデアを出させる段階で、過去の販売実績や市場データをあえて渡さなかった、というところです。

理由は単純です。売れ筋を聞けば、返ってくるのは昨日までの延長だからです。「よく売れているレモンタルトを、もう少し良くするには」と聞けば、出てくるのは去年の改良版です。渡したテーマは「今までにない組み合わせ」「名前を見た瞬間になんだこりゃ?と思われる」「食べたらおいしい」の3つだけでした。

味と見た目は、最後まで人が決めた

もうひとつ大事なのは、AIの案をそのまま棚に出していないことです。開発担当者が試作を重ね、酸味のバランスや「レモンタルトらしい見た目」を整えています。刻んだピクルスの酸味、レモンの爽やかさ、チーズのコク。甘さを抑える判断をしたのも人です。

役割がきれいに分かれています。AIは発想を広げる相談相手。人は、お客様に出せる品質かどうかを決める責任者。店頭には「AI発案」と表示して、奇抜さで足を止めさせ、味で納得してもらう。

社長、ここがポイントです。「AIに何をさせたか」より、「人がどこで止めたか」のほうが、はっきり決まっているのです。

これは大企業の話。では、御社ならどうするか

これは大企業の話。では、御社ならどうするか

そのまま真似すると、まず失敗します

正直に申し上げます。この事例をそのまま持ち帰って「うちもAIで新商品を」と言い出すと、ほぼ確実に空振りします。

ローソンには試作を繰り返せる開発部門があり、4,700店という検証の場があり、外した商品を1つ出しても会社は揺れない体力があります。御社にはどれもありません。私が社長の立場なら、この3つが無い前提で考えます。

真似すべきはやり方ではなく、考え方の切り分けです。「過去の実績に聞かない場面」と「人が最後に責任を持つ場面」を、業務の中で分けて置く。これだけなら、社員5人の会社でも今日からできます。

御社の「なんだこりゃ?」は、商品じゃなくていい

新商品開発は、中小企業にとっていちばんお金と時間がかかる領域です。私なら、そこから始めません。

たとえば営業。いつも同じ切り口で出している提案書に対して、「この会社に、うちが今まで出したことのない提案をするとしたら」とAIに聞いてみる。10案出させて、9案は使い物にならなくていい。1案でも「その発想はなかった」が出れば十分です。金額と納期の約束は、社長が決めます。

たとえば現場。忙しい時間帯の人の動かし方について、案を出させる。安全と接客の線は、現場責任者が止めます。

たとえば採用。求人票の書き方を、業界の常識から外した案で10通り出させる。実際に載せる文言は、社長が選びます。

どれも、失敗しても誰も怪我をしません。この「外しても大丈夫な場所」を先に選ぶのが、中小企業のやり方だと私は考えています。

社長が決めるべきなのは、この一行

導入の最初に書くのは、ツール名でもルールブックでもありません。次の一行です。

「この仕事で、AIに出させるのは○○。人が止めるのは△△」

ローソンなら、出させるのは組み合わせとコンセプト。止めるのは味、見た目、価格、衛生、店頭表示です。

御社の営業でやるなら、出させるのは提案の切り口。止めるのは金額と、お客様への約束。この一行が無いまま「使ってみて」と配ると、社員は無難な使い方しかしません。責任の線が見えないからです。

そして、この一行を書けるのは社長だけです。部長でも、情報システム担当でもありません。どこまで外してよくて、どこからは会社の看板に関わるのか。それを判断できるのは、経営の責任を負っている人だけだからです。

なぜ多くの会社が「チャットで終わる」のか

なぜ多くの会社が「チャットで終わる」のか

進んだのは個人の作業、止まっているのは稼ぎ方

調査会社のアイ・ティ・アールが2026年5月、従業員100人以上の企業の課長以上584人に行った調査があります。全体の成熟度はおおむね1.3〜1.5点台。「試しているか、一部で実施している」が平均、という水準です。

中身を見ると、いちばん進んでいたのは働き方や組織運営の見直しでした。資料作成、調査、要約といった個人の作業です。いちばん遅れていたのは、新規事業や、稼ぎ方そのものの見直しでした。

つまり、多くの会社で起きているのは「社員の手元が速くなったが、お客様に渡すものは変わっていない」という状態です。冒頭の違和感と、ぴたりと重なります。

便利になったのに売上が動かないのは、順番の問題

私はこれを、能力の問題ではなく順番の問題だと見ています。

多くの会社は、先に道具を配ります。全社にチャットを開放して、勉強会をやって、使い方の事例を共有する。そこまでは進みます。でも、どの業務のどこを任せるかを決めていないので、各自が自分の手元の作業に使って終わります。

ちなみに、大手のIT企業が最近出しているサービスも、方向は同じです。「空のチャットに質問させる」のではなく、その会社の仕事の中身や資料をあらかじめAIに渡してから使わせる、という設計に変わってきています。渡す文脈が無ければ、返ってくるのは一般論だけ。それは中小企業でもまったく同じです。

御社でも、AIに「うちの強みを活かした提案を考えて」と聞いて、どこの会社にも当てはまる答えが返ってきた経験、ありませんか。あれは、AIの力不足ではありません。渡した情報が足りないだけです。

私ならこう始めます

私ならこう始めます

「外す会議」と「数字を見る会議」を分ける

いちばんよくある失敗が、この2つを同じ会議でやることです。

誰かがAIの出した変わった案を発表する。その場で別の誰かが「それ、売れないでしょう」と言う。会議は5分で終わり、残ったのは無難な案だけ。これでは、わざわざAIを使う意味がありません。

だから私は、順番を分けます。最初の会議は「外す会議」。ここでは、売れるかどうかを言わない。とにかく数を出す。次の会議で「数字を見る会議」をやる。原価、手間、既存のお客様の反応、法規制。ここで落とします。

「今日は外していい日です」と先に宣言できるのは、社長だけです。社長が黙っていると、社員は必ず無難なほうに寄ります。

1商品、1提案、1店舗から

ローソンでさえ、4月に一部地域で試してから9月の本格展開に進みました。御社なら、もっと小さくて構いません。

対象は1つに絞ります。1つの商品、1人の営業担当、1つの店舗、1つの評価項目。期間も1か月で十分です。全社導入の計画を立てる前に、社長の目の前で1件、最後まで通してみる。これがいちばん早いと私は考えています。

小さく始める最大の利点は、失敗したときに誰も責任を問われないことです。中小企業でAIの取り組みが止まる原因の多くは、技術ではなく「失敗したら誰のせいになるのか」が見えないことにあります。

成果の測り方を「時短」から変える

最後に、指標の話をさせてください。

「何分短縮できたか」で測っている限り、取り組みはチャットの範囲から出ません。時短は測りやすいのですが、測りやすいものばかり追うと、稼ぎ方は変わらないままです。

私が社長にお勧めしている質問は2つです。

ひとつ、お客様にお渡しするものが、去年と変わりましたか。提案書の切り口でも、商品の組み合わせでも、見積もりの出し方でも構いません。

ふたつ、社員が「ここから先は人が判断する」と自分の言葉で言えますか。言えるなら、その業務はもう定着しています。言えないなら、まだ道具を配っただけです。

社長、あなたにしかできないことは2つだけです

社長、あなたにしかできないことは2つだけです

ツールを選ぶのは、社長の仕事ではありません。使い方を覚えるのも、社員のほうが速いはずです。研修も外に頼めます。

社長にしかできないのは、この2つです。

「この業務は外していい」と許可を出すこと。そして「ここから先は人が責任を持つ」という線を引くこと。

ピクルス風味のレモンタルトは、話題のスイーツとして消費されて終わるかもしれません。でも私は、あの商品が棚に並んだこと自体に意味があると見ています。AIが出した発想が、社内の資料で止まらず、お客様の前まで届いた。それだけの話であり、それがいちばん難しいところだからです。

御社でその一行を書くとしたら、どの業務から始めますか。もし迷われるようでしたら、一緒に考えさせてください。

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